医師が「万人におすすめする」2つのがん予防法

がん

こんにちは、コタロウです。

先日、知り合いにこんな質問をされました。

がんの予防法ってあるんですか?

結論から言うと、

コタロウ
コタロウ

全てのがんを予防するのは無理だけど、ほぼ確実に予防できるがんが2つだけあります。

知り合いに、かなり驚かれたので、一般の方にはあまり知られていないのかもしれません。

「胃がん」と「子宮頸がん」は、ほぼ確実に予防できることが分かっています。

ご自身もそうですが、お子さんがいる方には絶対に知っておいてほしい知識ですので、是非最後までお読みください。

一般的ながんの予防法

「科学的根拠のあるがんの予防法」はすでに存在しており、国立がんセンターがん情報サービスにまとめられています。抜粋すると以下のようになります。

  • 科学的根拠のあるがんの予防法
  • 1.禁煙、嫌煙
  • 2.禁酒、節酒
  • 3.食生活の改善
  • 4.適度な運動
  • 5.適正体重の維持
  • 6.感染のコントロール

1〜5の各項目はよく言われていること(いわゆる生活習慣の改善)ですが、膨大な疫学的データから導き出された根拠のある予防法で、非常に大事な情報です。特に禁煙は必ず実行してください。タバコ吸ってて、がんになっても「当たり前」という反応になります。

ここで読者の皆さんが知りたいのは、もっと直接、「これをやっておけば、がんにならない」と言えるような予防法だと思います。それが6の感染のコントロールになります。

がんの原因になっている感染をコントロールできれば、より効果的です。がんの発生に関係するウイルス・細菌には、以下のものがあります。

原因ウイルス・細菌          発生するがん
ヘリコバクター・ピロリ菌胃がん
B型・C型肝炎ウイルス(HBV、HCV)肝細胞がん
ヒトパピローマウイルス(HPV)子宮頸がん、陰茎がん、肛門がん、中咽頭がん
エプスタイン・バーウイルス(EBV)上咽頭がん、バーキットリンパ種、ホジキンりんぱ腫
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)成人T細胞白血病
がん発生に関係するウイルス、細菌

このうち、「胃がん」「子宮頸がん」については予防法が確立しています。

胃がんの原因と予防法

胃がんは年々減っていますが、それでも日本人のがん死の原因第3位の怖い病気です。

この胃がんが、およそ99%ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因であることが分かっています(日本癌学会市民公開講座「胃がんで亡くならないために何をなすべきか」)。

かつて、胃内は強酸のため細菌は生きられないと考えられていました。しかし、1982年に、胃酸を中和するアンモニアを作るピロリ菌が発見され、この菌が胃炎、胃十二指腸潰瘍そして胃がんの原因であることが分かりました(発見者の医師ウォーレンとマーシャルは2005年にノーベル賞を受賞しています)。

ピロリ菌の有無を検査して、必要なら(感染していたら)、抗生剤による除菌治療を早期に行えば、胃がんの発生は予防できます

ピロリの検査には、内視鏡を使っての検査や、血液、尿、呼気を使ってピロリ菌の保菌者かどうかを調べる比較的かんたんな検査があります。

WHO(世界保健機関)が1994年に、ピロリ菌を「確実な発がん因子」と認定し、日本では2000年から除菌治療が健康保険に適用されています。最近では、公費で若年者(10歳代)にピロリ菌検診を行なう自治体も広がってきています。

一方、除菌のデメリットも少しあります。ピロリ菌がいなくなると、食道胃接合部がんという少し違うタイプのがんができやすくなることが分かっています。しかし、発がんリスクの程度を考えると除菌を選択するべきと考えています。

子宮頸がんの原因と予防法

もう1つの予防できるがんは子宮頸がんです。子宮の入り口である頸部から発生する病気で、女性特有のがんの第2位の発症率です。毎年1万人が子宮頸がんになり、約2800人が亡くなっています。また死に至らないまでも、子宮全摘が必要になることがあり、妊娠・出産できなくなります。比較的若い方に多い病気であることも考慮すると、とても大きな問題です。胃がんと違い、こちらは私の専門分野ではありませんので、実際の患者さんと接することは少ないですが、予防法があるにも関わらず、この病気で亡くなる方がこれほど多いのは本当に残念です。

日本産科婦人科学会のホームページにまとまった情報が掲載されています。

子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることが分かっています。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性の50〜80%はHPVはに感染していると推計されています。そして感染から数年〜数十年で発がんに至ります。

HPVワクチンがありますが、感染を予防するもので、すでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果はありません。したがって、性交渉を経験する以前にワクチン接種することが必要です。

世界中の主だった国ではHPVワクチン接種が普及しており、子宮頸がんの発症が激減しています。日本でも2013年にHPVワクチンが定期接種されるようになりました。

しかし、日本ではその後、HPVワクチンの副作用(痙攣、神経障害、アナフィラキシーなど)がマスコミで大きく取り上げられ、被害のあった子供たちの画像と共に連日報道されました。その結果、日本では現在、HPVワクチンは、自発的に接種しないと受けられなくなっています。現在、我が国のHPVワクチン接種率は1%未満になっているそうです。

HPVワクチンの重篤な副作用として、手足の神経障害、痙攣などが起こり、マスコミで大きく報道され、社会問題化しました。欧米と比較しても発生率はそれほど高くなく、結局のところ、リスク(危険性)とベネフィット(効果)を各自で判断するしかないと考えています。なお、ワクチンの定期接種を中止したのは日本だけです。

非常に稀ですが、大きな副作用で苦しんでいる方もいるのは事実でしょう。発言には慎重になるべきですが、私はHPVワクチンは全女性が(中学までに)接種した方がよいと考えています。産科婦人科医師の大半がHPVワクチンの有効性を支持していることや、科学データを見る限り、有効性は明らかです。

日本人独特の「ゼロリスク信仰」(副作用や有害事象はゼロでないと許容できない)と、なぜか医療関係者よりもメディアを信じる体質が、HPVワクチン普及を妨げていると思うのですが。。

コタロウ
コタロウ

私の娘も、中学のときにHPVワクチンを接種しています。

まとめ

  1. 生活習慣の改善(禁煙、禁酒、食生活の改善など)以外に直接的に予防できるがんが2種類ある。
  2. 胃がんは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染と除菌治療で予防できる。
  3. 子宮頸がんは思春期前のHPVワクチン接種で予防可能である。

参考になれば幸いです。

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