新型コロナウイルスの急変対策にパルスオキシメーターは必要か?

医療

こんにちは、コタロウです。

新型コロナウイルスの国内での流行は、まだまだ先が見えない展開ですが、2021年1月に入ってから、痛ましい報道が増えています。

コタロウ
コタロウ

自宅療養中に、急に病状が悪化して亡くなってしまうケースが増えているのです。

私は外科医ですから、直接Covid-19(新型コロナウイルス感染症)の患者さんの診療を行なうことは少ないですし、専門外のことをお話する気はなかったのですが、自宅療養中の方が急変するような事態は、今までにない由々しき事態です。自院の呼吸器内科医師との会話から、発信するべきことがあると思い、記事を作成することにしました。

結論から言うと、

コタロウ
コタロウ

万一の急変に備えて、自宅にパルスオキシメーターを準備しておいた方が良いです。

新型コロナウイルス感染症には、通常の呼吸器疾患では見られない特徴(Happy hypoxia)があるため、気が付かないうちに病状が進み、手遅れになる恐れがあります。急変時に手遅れにならないための有効な手段として、パルスオキシメーターは一家に一台、用意しておいた方がよいと考えています。

この記事では、その理由について、解説します。

今回は私にとっては専門外の記事になりますが、医療情報として間違いがないように、同僚呼吸器内科医にもファクトチェック(事実確認)してもらったうえで発信しています。

新型コロナウイルスが自宅療養中に急変する理由

新型コロナウイルス感染症は、対応に苦慮する厄介な特性がたくさんありますが、そのなかでも今回話題にしていることには、改めてCovid-19が、たちの悪い病気であることを再認識させられます。

今回の記事で取り上げている自宅での急変は、はっきりした自覚症状(呼吸苦)が無いのに病状が進行していくことから起こっています。

急変の理由としては大きく分けて2つの原因があると考えられます。

  1. 肺炎の悪化(Happy Hypoxia)
  2. 血管障害に伴う心不全、脳血管障害
肺炎の悪化(Happy Hypoxia)

新型コロナウイルス感染症は、基本的には肺感染症ですから当然のように思われるでしょう。

ふつうの肺炎と大きく違うのは、最大の自覚症状である「呼吸苦」がほとんど無いのに、病状が進行することです。このような、やや奇妙な経過を取ることが、2020年5月のScience誌に発表され(The mystery of the pandemic’s ‘happy hypoxia’)、“Happy Hypoxia”(ハッピー低酸素症)という言葉と共に、世界中で認知されるようになりました。

これが自宅療養中に、手遅れになってしまう最大の原因と考えられています。

血管障害に伴う心不全、脳血管障害

急変の原因のうち、もうひとつの候補が血管障害に伴うものです。

新型コロナでは、肺以外にも、多臓器の血管内皮細胞にウイルスが侵入して、これらを免疫細胞が攻撃することでサイトカインストームが起こり、血管障害から臓器障害に至ることが分かっています。

その結果、心不全、肝不全、腎不全、脳血管障害などの多臓器不全を起こす危険があります。これらの中でも、心不全や脳血管障害は、進行が急で、症状に気が付いたときには手遅れになる可能性があります。

この血管障害に伴う臓器不全が、急変の原因として2番めの候補です。

パルスオキシメーター

人間の血中酸素飽和度(血液中のヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか示す数値)は正常状態では95%以上あり、80%以下では生きていけません。90%以下では強い呼吸苦が出現するのが新型コロナ以外の呼吸不全では普通です。

この血中酸素飽和度を、皮膚を通した光の吸収値から計測するのが、パルスオキシメーターです。

パルスオキシメーター

私が研修医になった1991年頃から急速に普及して、当初は手術中の呼吸状態のモニタリングに、その後、病棟での呼吸状態のチェックに用いられるようになりました。

動脈血酸素分圧(下の図の横軸)がより正確な「酸素化」の数値になりますが、これは動脈血を採らないと計測できません。パルスオキシメーター(縦軸の酸素飽和度 SpO2を計測できる)は指に装着するだけですから、PaO2が一定程度(80mmHg以上)キープ出来ていることを簡単に確かめることができます。

酸素飽和度(SpO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)

使用上の注意点として、

  1. PaO2(動脈血酸素分圧)とSpO2(酸素飽和度)は比例した数値ではなく、PaO2が60mmHgを下回ってくると、急激にSpO2も低下する特性がある(上図の矢印部分
  2. 手が冷えていると血流が悪くなるため計測できなくなる
  3. 光のセンサーに影響するようなマニキュアなどで数値が狂う

などがありますが、非常に簡便で、血圧計より使いやすいくらいでしょう。実際に装着、計測している様子をお示しします。

上記1.が分かりにくいので補足しますと、パルスオキシメーターで酸素飽和度の計測値が96%から90%に4%だけ落ちたとすると、動脈血酸素分圧はおおよそ90mmHgから一気に60mmHgぐらいまで30mmHgも急降下していることになります。比例関係にないことを知っておきたいです。

日本呼吸器学会「よくわかるパルスオキシメータ」患者向けには、より詳しい情報があります。

パルスオキシメーター使用の様子

Happy Hypoxiaに対してパルスオキシメーターは有用か?

この部分は、前出の呼吸器内科の医師から現場の情報をいただきました。

呼吸器内科医
呼吸器内科医

Happy Hypoxiaとは言っても、全くなんの症状もなく悪化することは少なく、熱や咳、倦怠感はあります。

コタロウ
コタロウ

では、症状の悪化に気をつけていたら大丈夫ですか?

呼吸器内科医
呼吸器内科医

いや、しんどいのは初めからだから、どれくらいで危険なのかを自分で判断するのはむずかしいでしょう。

コタロウ
コタロウ

レントゲンなどで経過を追うのも、入院してるからできることですしね。。

呼吸器内科医
呼吸器内科医

そのとおり。

やっぱり、Happy Hypoxiaは恐いよ。

コタロウ
コタロウ

自覚症状が当てにならないのに自宅療養するのは、すごく不安ですよね。

せめて、パルスオキシメーターで酸素飽和度を測れたら役に立つでしょうか?

呼吸器内科医
呼吸器内科医

役に立つと思うよ。

これまでの経験では、呼吸苦がなくても酸素飽和度の低下はあるから、気づかないうちに呼吸不全が進んでしまうことは防げるでしょうね。

自宅待機を余儀なくされている方は、せめてパルスオキシメーターで酸素飽和度を確認した方が良いでしょう

パルスオキシメーターの紹介

私自身は、2020年4月の新型コロナウイルス第一波のとき、体調を崩したこと、疑い患者さんの手術をしていた(濃厚接触者の疑い)ことから、しばらくホテル暮らしを余儀なくされました。その際に、パルスオキシメーターを購入しています。私が購入した製品は、日本製です。特に問題なく使えていますが、現在は在庫切れのようです(dretec(ドリテック) パルスオキシメーター OX-101BKDI)。

細かいところの使い勝手よりも信頼性が大事と思います。JIS 規格(日本工業規格)、ISO(国際標準化機構)規格に準拠しているものであれば、特に問題ないでしょう。代わりに、信頼できそうな商品をいくつか貼っておきます。

今回の記事でお伝えした理由で、ひとつは所有しておいた方が安全ではないかと考えております。

まとめ

  1. 新型コロナウイルスの急変は、Happy Hypoxiaが主要因
  2. 病状の経過をみるために、パルスオキシメーターが有用と考えられる

参考になれば幸いです。

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