風邪で救命救急センターを受診するべきでない理由

医療

救命救急センター(ER)で勤める研修医やERドクターから、こんな愚痴を聞くことがあります。

ERドクター
ERドクター

ERのコンビニ受診はやめてほしいな〜

コンビニ受診というのは、たとえば風邪などの軽い病気で、コンビニに来るように気軽な気持ちで病院を受診することです。

私はこのERドクターの言葉に同意しますが、一般の方は、

どうしてダメなの?

昼間は仕事で受診できないし、病院も儲かるからいいんじゃないの?

と思われるかもしれません。

この記事では、どうして軽症でERを受診しない方がいいのか、どんなときなら受診すべきなのか、解説します。

なお、ここで言うERは、3次救急担当病院のことと思ってください。

ERの役割り

救急医療を担う救急指定病院は、その規模や機能に応じて、一次救急から三次救急までを担当しています。

  • ✔ 一次救急…診察後に帰宅可能と思われる軽症患者さんを担当。急病診療所や開業医の当番制
  • ✔ 二次救急…入院や手術が必要な患者さんを担当。多くの総合病院
  • ✔ 三次救急…二次救急で対応できない多発外傷や重症患者を治療。救命救急センター

言うまでもなく、救命救急センターの役割りは、命に関わる緊急性の高い外傷、病気に対応することです。ERの本来の役割りであるこの機能が、軽症患者のコンビニ受診によって圧迫されているのが、多くの救急救命センターの現状です。助かる命が助からなくなるかもしれない。不要不急のコンビニ受診がダメな最大の理由はここになります。

ERではできないこと

患者さんにとっても、軽症でのER受診はあまりお得でないことが、ERを受診すべきでない次の理由になります。ERでは以下のような診療は期待できません。

  1. 専門的な診療
  2. 迅速な診療
  3. 安価での診療

1.ERを受診して、最初に対応するのは、たいてい初期研修医です(もちろんERの上級医に相談しながらです)。そのうえで、例えば手術をする必要があれば外科に相談がありますし、肺炎で入院加療が必要なら、呼吸器内科の上級医にコンサルトになります。ERを受診して「風邪だから内科の専門医に診てほしい」と言っても取り次いではもらえません。あくまでも、ERは応急処置をするための場所だからです。

2.ERはいろんな患者さんで混み合っています。対応する医療者側の数は限られていますから、優先順位の高い患者さんからになります。重症患者さんから(トリアージと言います)になりますから、軽症で受診すると、かなり待たされることになります。「風邪でしんどい。早く診てほしい」と言われても、死にそうな患者さんが優先されるのは当然です。

3.時間外の受診は、割増料金がかかります。通常の受診より2500〜4800円程度の初診料の負担が増えます。救命救急センターはさらに2000円くらい余計にかかります。全国健康保険協会に詳しく記載されています。

このような理由から、不要不急の症状であれば、翌朝、通常の外来を受診した方がよいと思いませんか?

それでも不安なら。。

ここまでのような理由で、軽症でERを受診するのはおすすめできません。

そうは言っても、自分が本当に軽症なのか、本当は風邪じゃなくて肺炎なのでは?と、不安に思われる気持ちもよく分かります。どんなときでもER受診を自粛せよと言っているのではありません。実は、「本当に救うべき人を取りこぼさないために、どんな患者でも受け入れるべき」との信念を持っているERドクターも多いことも事実です。

ただ、医療資源は限られており、明らかに現場は疲弊しています。迷ったら、一時救急病院から受診することも、ご検討いただけたらと思います。

まとめ

  1. ERは緊急性の高い重症患者さんのためで、コンビニ受診はさけるべき。
  2. 軽症で受診することは、患者さんにとってもメリットが少ない。
  3. ただし、不安なら受診を。
  4. 一次救急病院から受診することも検討してほしい。

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