がんの進行度について知っておいてほしいこと

がん

こんにちは、コタロウです。

こんな質問をいただくことがあります。

知人
知人

がんと診断された。

進行度は3って言われたけど、これどれくらい進んでるの?

医者である私は、病名と進行度(ステージ)を聞けば、どんな意味か分かりますが、一般の方にはむずかしいでしょう。

がんと診断されてショックのあまり、担当医の話が伝わっていないこともよくあります。まずは冷静になって、正しい判断ができるように心がけましょう。

ここでは、がんの進行度について説明します。

特に知っておいていただきたいことは以下の2つです。

  1. 同じ進行度でも、がんの種類によって治りやすさには大きな違いがある。
  2. ステージ4の進行がんでもがんの種類によっては治ることがある。

この記事を読めば、がんの進行度について理解できて、自分や家族ががんと言われたときに、どう考えるべきなのか、参考になると思います。

がんの進行度とは

がんが発見されたとき、我々医師は進行度(ステージ)を調べてから治療方針を考えます。

進行度の基準は2種類あります。日本の学会主導で作成された①取扱い規約と、世界標準の②UICC分類です。本質的な違いはあまりありませんので、ここでは日本で用いられている①取扱い規約の進行度で話を進めます。

なお、比較的頻度が高い病気であること、筆者の専門領域であることから、大腸癌の話を中心に解説していきます。

日本の取扱い規約
UICC分類

がんの病気は次の3つの要因(ファクター)で決定されます。

  1. 大腸の壁の中をどれだけ深く入り込んでいるか(T1-4)
  2. リンパ節に転移しているか(N0-3)
  3. 他の臓器に転移しているか(M0-1)

1.がんは、上皮性の悪性腫瘍ですから、大腸の壁の一番内側にある粘膜から発生します。粘膜にがん細胞が留まっていれば大腸内視鏡で削り取る治療(EMR)だけでも治せます。深く浸潤すると多臓器に浸潤することもあります。

2.リンパ管をとおってリンパ節にがんが転移していきます。リンパ節転移がない方が治りやすいです。遠くまでたくさんリンパ節転移があると手術だけでは治せなくなります。

3.血流に乗って他の臓器に転移が起こることがあります。基本的には全身病であり、かなり手強くなります。

これら3つの要素から、進行度(ステージ)が決められます。通常0から4まで分類されます。

がんの進行度からなにが分かるか

言うまでもなく、進行度が分かったら、患者さんの状態も考慮して、ベストの治療方法を見つけていきます。

大腸癌の場合は、手術が治療の中心になりますが、進行度0で大腸内視鏡下切除で済むこともあります。一方、進行度4で手術が望ましくない場合もあり得ます。

このように、進行度は治療方針を決めるために役立ちますが、もうひとつの大切な役割は、どの程度の可能性で病気が治るのか予測できることです。

進行度は、数字が小さいほど治りやすいのは間違いありません。国立がん研究センターは2020年3月17日に全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例の5年生存率を発表しています。

主要ながんの要点を表に抜粋しておきます。

癌種\Stage      I    II    III    IV  
食道79.651.727.113.1
87.657.444.56.6
大腸90.481.477.321.7
39.615.76.91.4
75.544.221.15.4
乳(女性)97.793.377.338.9
子宮(頸)91.679.364.227.4
前立腺(男性)89.794.488.457.0
主要ながんの5年生存率(%)

よくある誤解は、進行度が同じなら治りやすさも同じなのではないかというものです。例えば大腸癌のステージ1と膵癌のステージ1では、5年生存率がそれぞれ90.4%と39.6%と大きな差があります。がんの種類によって、治りやすさに違いがあるのです。上の表でも、乳がんや前立腺がんは比較的治りやすい癌ですが、膵がんや食道がんは治療が難しいことが示されています。

もうひとつ、ステージ4のがんは治らないというのもよくある誤解です。たしかに膵がんや食道癌のような悪性度の高い種類の進行がんでは、ステージ4はきびしいのは事実です。しかし、大腸がんのように血行性転移(肝転移や肺転移)があっても手術や抗がん剤で根治に至ることある癌もあります

まとめ

  1. がんの進行度は、深さ(T)、リンパ節転移(N)、血行性転移(M)の3つの要因によって、ステージ0〜4に分類される。
  2. 同じ進行度でも、がんの種類によって治りやすさには大きな違いがある。
  3. ステージ4の進行がんでもがんの種類によっては治ることがある。

*個々のケースについてはまとめて語ることがむずかしいため、必ず担当医にしっかりお話を聞いて治療に進んでください。

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